オオカミの例外

□分からぬ心
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最近、自分のことがよく分からない。

自分の思考が、分からない。


秀は、稔を送って帰宅して一人、ベッドに仰向けになって考えていた。

稔の笑顔を曇らせるようなことはしたくない。

落ち込んでいる、悲しい顔は見たくないし、その原因にもなりたくない。

常に、笑っていて欲しい。

それは多分、ただ単に友人としては正しい考えだろう。

じゃあ、稔が女子逹に触られてるのを見てムカついたのは?

触ってる女子にも、簡単に触らせてる稔に対しても、苛々したのは?

これは、なんだ?

自分で自分が分からない。

やっと、自分から切ろうと思わない【友人】が出来たから?


枕に顔を埋めて、息を吐いた。

本当にたまに、稔を一瞬でも可愛いと思うのは、【友人】としての感情なのか?

秀は、胸の奥に分からない疑問を抱えたまま、眠りに落ちた。


*****


「宮野(みやの)ー」

「ぁ?」

学校に来て早々、クラスの奴が大きな声で自分の名字を呼んだ。

「お前を紹介して欲しいって女子が結構いるんだけど」

数回話した程度の男子。

誰だよ。

なんで、その女子は直接言って来ないのか分からない。

直接来たら、すっぱり断れるのに。

「全員知らねぇ。メアド送るなよ」

「えぇー。せめて一人だけでも!」

「しつこい」

「取り敢えず一回でも連絡取ってくれよ。じゃないと俺がっ」

「お前の体裁なんて、俺には関係ねぇ」

親しくもない奴にそんな事言われても、同情なんて湧いても来ない。

「一応、送ったから、頼んだ」

「おい!」

勝手に言い逃げして去って行きやがった。

どうでも良い奴の写真なんていらないのに。

早速捨てようと携帯を取り出した。





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