オオカミの例外
□再発
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稔に考えろと言われた。
でも、すぐに分からないまま、稔と気まずいままに『友人』として過ごしていた。
「なぁ、考えてくれた?」
「何をだよ」
目の前にある顔。
「俺が渡した画像の女子だよ」
「すぐ捨てた」
「最低だな、お前」
そのとき、目の前の奴と名札の名前が同時に視界に入った。
「お前、大野っていうの?」
「なんだよ。今さら」
「いや、ちょっと」
「なぁ、考え直してくれよ」
すがり付く手がウザイ。
「どうしてそんなに必至なんだよ。たかが女の気を引く為に」
「たかがって。好きな子と接点を持つ為だろ?宮野はそういうのねぇのかよ」
「ねぇよ」
好きな女とか出来た事がない。まして、興味を持ってもらう為に努力をするなんて。
有り得ない。
「モテモテだったからか!」
冷やかしのように大野は言う。
そう言えばコイツは体育会系のノリをする奴だった。
「うるさいな。本当にそんなのじゃねぇよ」
「マジでないの?好きになったりとか」
大野は有り得ないモノを見るような目で秀を見る。
だって、本当に過去にない。
「ないよ」
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