好きな人〜もう一つのラスト〜

□〜揺れる〜
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「…お願い?」
「すごく、酷なことだと思う。それをお願いする僕は、本当に酷い奴だと思う」
「そんな、吉瀬さんは酷い人なんかじゃ…」
まだ、そのお願いを聞いてもいないのに、瑠は吉瀬を庇う。
「じゃあ、お願いを、聞いてもらえる?」
「……はい…」

「僕が彼女と結婚するかどうか、君に委ねたいんだけど」



森が、鳴った。


空気が動いた。



「え?」
瑠は、咄嗟に聞き返していた。
だって、こんなの、聞き間違いに決まってる。
そう思いたかった。
「決めて欲しい。僕が君のお姉さんと結婚するか、それとも、結婚をやめて、君と一緒にいるか」
「結婚することを選んだら、俺と一緒にいてくれないんですか?」
「……一緒にどこかに出かけたりとかは、難しくなると思う…」
そんな…。
なんでこんな、どっちを選んでも嫌なのを、俺に頼むんですか?
「…酷いです…」
「言ったよね?酷いお願いだって」
「言いました。でもっ」
こういうのだと思ってなかった…。
「どうする?」
「どうするって…」
そんなの、すぐに決めれるわけない…。
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