ツインズ

□体育祭
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生徒会のメンバーが決まると行事が一気にある。

体育祭に文化祭。

学校の最大の行事である体育祭が、あと数週間で行われる。


「澪先輩、理央先輩を知りませんか?」

「兄さん?……知らないけど」

「そうですか」

慌ただしい、生徒会室。昼や放課後に集まり、それぞれが準備をするのがこの時期の習慣だ。

それなのに、生徒会長の理央が殆ど顔を出さない。

そもそも、理央が仕事をしないのは去年と同じ。それは有名なことで、生徒達の誰もが知っている。

役員は基本、生徒達からの推薦で決まる。

その上で、連続して理央が選ばれるのは独特のカリスマ性によるものだろう。


凄いと思う。

だらしない理央を間近で見ている飛鳥も、理央以上に相応しい人はいないと思う。

「飛鳥。仕事なら手伝うぞ」

「いえ、大丈夫です」


……じゃあ、俺は?

一緒に選ばれた悠と違い、スポーツも普通で目を惹く程の格好良さもない。

体育祭が終わるとすぐにある試験の勉強だって、毎日欠かさずしないと良い点を取れない。

理央先輩や澪先輩、悠のように要領よく出来ない。努力しか出来ない。

そんな平凡な俺がどうして、選ばれた?

何もないのに。

みんなから羨望を得られる何かを持ってないのに。

一年生の時からずっと、俺にはその理由が解らない。

それは、一種のコンプレックスになっていた。


「ちょっと会長を探してきます」

「あの、須藤先輩」

探しに行こうとした時、役員の後輩に声をかけられた。

「どうかした?健」

飛鳥は、その後輩の下の名前を呼んだ。

「え、俺の名前…」

「俺も飛鳥で構わないよ。そっちの方が仲良くなれるだろ?」

優しい笑みで飛鳥が言った為、照れたように俯く。

「じゃあ、あの、飛鳥先輩」

「なに?」

「ここの仕組みなんですけど…」

「あぁ、そこはね…」

飛鳥が後輩に教えている様子を、離れたところから悠と澪が見ていた。

「俺思うんですけど、飛鳥って天然だけど無差別キラーの要素がありますよね?」

「しかも本人は気付いてないな」

澪は冷静に分析して頷いた。


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