ツインズ

□理央と飛鳥
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「飛鳥先輩が倒れたって!」

「大丈夫かなー」

声が、聞こえる。

起きなきゃ。

でも、だるい。

クラクラする。

「しーっ。ちょっと静かにしてやってくれねぇか」

「あ、理央先輩!」

「こら。静かにしろって」

「どこか悪いのですか?」

「頑張り過ぎて倒れただけだから、お前らはもう競技に戻れよ」

優しい声だ。

落ち着く。

その後、飛鳥は手に温もりを感じた。

「…気持ち、良い」

とてもそれが心地良かった。

次に飛鳥が目を覚ましたのは周りが静かになった時だった。





「ん…俺…」

嗅いだ事のある匂い。

薬品や湿布。

保健室?

「なんで、俺…」

「目、覚めたか」

声のする方を見た。

「理央、先輩」

「ちょっとは楽になったか?」

その言葉で頭が覚醒する。

「すみません、俺!」

勢い良く上半身を起こした。

「…っ」

頭が、痛い。

「おい。まだ万全じゃないんだから、急に起き上がるなよ」

理央は慌てて飛鳥を支える。

「すみません、俺…」

「何がだ」

「みんなに迷惑かけました…」

飛鳥は項垂れる。

「別に迷惑なんてかけてないだろ」

頭を撫でるように手を置かれた。

それが飛鳥には神経を逆撫でするように感じられ、その手を払いのけた。
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