ツインズ

□文化祭
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見てれば、判る。

だって、俺と兄さんは双子だから。

飛鳥の事が好きなんだ、とか。

上手くいったんだな、とか。

兄さんは、判るのかな。

俺が兄さんに対してどう思ってるのか。

俺が悠に対して、どう思ってるのか。

「澪先ー輩!」

「っ」

後ろから震動が来て驚く。

「びっくりした?」

「別に。いいからどけ」

今、すごく困らせられている相手。

「言い方キツいよー」

「お前には仕事があっただろ」

与えていた、資料を作るだけの地味な仕事。

「澪先輩と話したくて、早く終わらせてきた」

グーサインを出す。

いつも、こいつはこうだ。

どれだけ冷たい態度を取っても、近寄ってくる。

嫌なんだ。

困るんだ。

自分がお前に対してどういう感情を抱いているか、わからないんだ。

篠田、悠。

「何が終わらせただよ。俺に押し付けたくせに」

横から、悠の従兄弟の飛鳥が資料をまとめながら言った。

「別に良くない?いつもの事だし」

「良くない。そろそろ文化祭もあるんだから」

「俺の飛鳥を苛めるなよー、悠」

澪の双子の兄、理央が飛鳥を抱き締めた。

「苛めてないですよ。理央先輩の物に手を出すわけないでしょ?」

「俺、理央先輩の物じゃないし」

「「今更何言ってんだ?」」
ほぼ同時に、理央と悠は言った。

「なんだよ、二人とも!」

澪は、そんな三人のやり取りを、ただじっと見ていた。
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