蓮華学園高等部
□体育祭
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「はい?」
生徒会室で、志乃は惚けた声を出した。
「だから、交流会はまだ先だから」
西園寺は、変わらない口調で言う。
志乃が交流委員という物に任命されて、日野と会話したあの日から一週間が経った頃、生徒会室に呼び出された。四月の末になっていた。
てっきり志乃は、交流会について詳しい説明を受ける物かと思っていた。
しかし、代わりに聞いたのは違うこと。
「あの時、急いでいたようだったので近々あるのかと思ってました」
「近いといえば近いな。ただ、それより先に体育祭があるだけで」
頬杖をつき、西園寺は余所を見る。
何を黄昏ているんだか。
「いつですか?」
「三週間後?」
誰も体育祭があると言わないこの空気で、三週間後に体育祭?
「間に合うんですか」
「無理」
そんな風に自身ありげに言われても…。
西園寺は、実に良い笑顔で言い切った。
「頑張ってください」
「手伝ってくれないのー?」
「なんで俺が」
生徒会の仕事なのに自分が手伝う必要が感じられない。
交流会のは、流れから仕方のないことだ。
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