蓮華学園高等部
□帰郷
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「久しぶりだな、なんか…」
志乃は四ヶ月ぶりに実家の前に立ち、感慨深い想いを抱いた。外出したのは交流会の時だけで、ずっと学校いたからかもしれない。随分離れていたように思える。
「ねー。なんか懐かしいよねー」
「あぁ、そうだな。……って」
志乃はふと後ろを振り返る。
「なんで健がいるんだ?」
なぜか安藤が当たり前のように立っていた。
「え?だって志乃の家だから……」
いや、その理由おかしいよな?確かに俺の家だけど、健の家じゃないんだからな?
首をかしげる安藤に思わず志乃は突っ込みたくなる。
「志乃が帰るっていうからさ、来ちゃったよ」
「いや、あのさ……」
「俺の地元もこの辺だしさ、近いし」
「それは知ってるけどな…」
今さら帰れとは言えないし、どうするべきか。志乃は頭を掻く仕草をしながら悩む。
「志乃、早く家に入ろ」
安藤は志乃の腕に腕を絡ませて促す。
「……そうだな」
もう仕方がない。志乃は諦めて頷いた。
その瞬間、志乃の家の扉が開いた。
「志乃!」
スーツをビシッと決めた長身の男性が、志乃の名を呼んだ。
「……兄さん!!」
志乃は安藤の腕をほどいて、その男性に駆け寄った。
「……え?お兄さん?」
安藤は初めて見る男性と、志乃の様子に目を丸くした。
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