秘める恋

□戻せない想い
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仲直りをする。


そう決意して、僚が通っている大学の大学祭に行く事も決めた。

しかし、まだ気分が乗っていなかった。

実は、今まで一度も行った事がない。仲良いのに何故かと問われれば、それは唯人が僚を好きだから。

従兄としてじゃない僚を見てみたい。でも、見たくない。

そんな矛盾する気持ちがあって、過去に僚から誘われても行けなかった。

達也を誘おうかと悩んだ。でも、そこまで頼るのも悪いと思いやめた。


「…大丈夫。兄さんを見かけたらすぐに帰れば良いんだし」


唯人は今、大学の入り口に立っていた。

校内から聞こえる賑やかな声。華やかな雰囲気。凝っている、飾り付け。それは、本当に楽しそうだ。


「大丈夫」


端から見たら変な人だろう。入らずに立ちすくんで、ぶつぶつと何かをしゃべっているのだから。


自分でも分からない程、何かに怯えていた。


それを払拭出来ないまま、唯人は大学へと足を踏み入れた。






*****



達也を連れてくれば良かったと後悔したのは、そんなにかからなかった。


「一人?一緒に回らない?」

これで何度目だろう。

声をかけられるのだ。大学生か高校生か分からないけど、色んな女の人に。

前にも達也と遊びに出た時、こういう事があった。その時は達也が対応してくれた為、大して気にならなかった。

でも唯人は正直、こういう時の対応の仕方が分からない。

気が付いたら、周りから変に思われないギリギリの円が、唯人を中心に出来ていた。
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