秘める恋
□気付く想い
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時間が経てば経つほど、自分の気持ちが判らなくなってくる。
どれが本当なのか。
本当の気持ちを隠す為に、自分でも気付かない内に嘘をついて……。
―――隠された本心は、なんだった?
そうしている内に、日は迫る。
唯人は、自分が本当に何を考えているのか分からなくなっていた。
「聞こうか迷ってたんだけどさ……」
ぼーっとしていた唯人に、達也が尋ねた。
「あ……なに?」
「明後日、だろ?僚さんの留学」
「……そう、だね」
自分でも分かっている。
分かっていて、考え過ぎて、どうすれば良いのか分からなくなっている。
「――唯人、なに考えてる?」
虚ろな唯人に、達也は尋ねる。
「わかんないんだ。色々」
「……たとえば?」
「自分が、どうしたいのか。何を迷ってるのか」
「迷ってる、ね。じゃあ、聞くけど、今唯人は、漠然とどんな気持ちだ?」
達也は自嘲気味に笑うと、唯人に聞く。
「今の気持ち?」
「ハッキリしてなくて良いよ」
唯人は考える。
漠然と胸の中に漂っている、この感情はなんだろう。
「――寂しい」
あぁ、そうだ。
俺は今、寂しいんだ。
唯人が言った瞬間、達也は哀しげに笑った。
「解ったよ、唯人の望んでいることが」
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