幼なじみ
□変わった日常
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「覚えてないの?」
担任がなんとか場を収めて授業が始まって、終わった後に、イケメンの転校生の千歳に、陽は声をかけられた。
そして、授業中に気づいたことが二つ。
千歳はやっぱり、頭も良かった。
みんなが答えれなかった数学の問題を平気な顔で解いていた。そして、陽は、千歳に抱きつかれたというのが一斉に学校中にまで広まっていた。
「…なんのこと?」
陽は机にうつぶせて顔をあまり見られないようにして、千歳に答える。
教室の外が野次馬で五月蝿い。
女子からの羨ましいという声がすごく聞こえる。
「俺のこと、覚えてないの?」
「…今日が初対面じゃないの?」
陽の返事に千歳は残念そうにため息をついた。
「俺ね、陽とは幼稚園の時に知り合ってるんだよ。よく俺が陽に泣きついてた。それを陽は黙って聞いてくれた」
「幼稚園?」
ほんの少し顔を上げて千歳を見る。
千歳は懐かしむような表情で言う。
「俺さ、子供の頃両親が仲が悪かったんだ。よく泣いてたんだ。それをよく陽に愚痴ってた。それを、陽は何も言わずに俺の頭を撫でて聞いてくれてた。それが俺にはすごく嬉しかったんだ」
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