幼なじみ
□烈風の空 上
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あの帰りの日、はぐらかされたまま、数日が経った。
怜は、あの日からはいつもの怜で、もう悩みはなくなったのかと思った。
「陽、今日は俺と架連で先に帰るから怜と帰ってね」
お昼の日、優夜に急に言われた。
「え、二人で一緒に?」
「うん、ちょっとね」
架連と優夜が一緒ってことは、買い物とかじゃないだろうし。
勉強会なら、一緒にするような二人じゃないし…。
でも、二人で行くって言ってるのを無理して聞いて、同伴しようとは思わない。
「ふぅん。分かった」
だから、陽は何もその事に突っ込まなかった。
「ごめんね?」
「ううん。別にいいんだけどさ。それよりも…」
少し寒くなった屋上。
周りを見渡した。
「怜は?今日はお昼に仕事でもあったの?生徒会?」
「あぁ、なんか先生に呼び出されたんだって」
「そうなんだ」
優夜の答えに頷いて、またご飯を食べ始める。
「それよりも、まだ神谷くんとは仲が良いんだね」
優夜が陽に聞いてきた。
「え、うん。まぁね」
相変わらず、千歳は陽にベッタリだ。
女子がそれに見慣れて、キャーキャー言うのをヤメる程に。
収まったのは嬉しいけど、分からない。
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