幼なじみ
□一水の行方 上
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結局、俺はどうすれば良いんだろう……。
珍しく早くに目を覚ました陽は、支度をしながら考える。
昨日、怜は清々しい顔でお父さんの病室を出て来た。
たぶん、うまくいったのだろう。
だから、問題はその後だ。
『俺の言ったことは本当だ。冗談とかじゃない』
怜に、そう言い残された。
たぶん、『好き』って言われたことについてなんだろうけど……。
本当ってことは、冗談じゃなくて…。
じゃあ、本当の好き?
本当の好きって何?
「分かんないよ」
グルグルして、ごちゃごちゃになってきた。
陽は、考えることをヤメることにした。
口調も雰囲気もいつもの怜に戻ったし、困ることは何もない。
このまま、またいつもの日常に戻れば良いんだ。
「いってきます」
扉を出たら、そこにはいつもの面子。
「おはよう、陽」
「珍しく早ぇな、お前」
ほぼ同時に、架連と優夜が言った。
「後少しでチャイムを押す所だったよ」
「そっか」
「明日は雪か?」
「煩いなっ」
架連の冷やかしに、陽は頬を膨らまして言う。
「バーカ。冗談に決まってんだろ」
架連の久しぶりの笑った顔。
こんな風に明るい朝は久しぶりかもしれない。
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