幼なじみ
□陽の当たる場所
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「ふぅ〜」
優夜が落ち着いて、数日が経った。
あれからは何もなくて、いつもの平和が戻りつつあった。
優夜のしてきたキスは、怜と同じ種類のもの。
それは分かったけど、だからと言って、結論を出すようには言われていない為、陽は何もしないでいた。
どうして優夜が、怜に陽がキスされた事を知っているかは分からなかったけど、そこまで気にならないし、結局その疑問もそのままだ。
陽は屋上で、珍しく一人で座っていた。
「千歳といること、多かったし。最近、一人でいることなかったなー」
フェンスを背もたれにして、陽は休憩時間を利用して休みに来てた。
たまたま、千歳が職員室に呼ばれたのだ。
待っててって言われなかったから、一人で来てしまった。
「別に、怒ったりしないよね…」
千歳は、あまり怒らない。
そもそも、怒った姿を見た事が無い。
「千歳はどんな時に怒ったりするんだろう……」
ぽつりと、零した。
一度口に出すと、すごく気になってきた。
いつも笑っている千歳。
たまに、すごく真剣な顔になるけど、怒ったりはしない。
「少し、見てみたいかも……」
陽の頭に浮かんで来た、新しい疑問。
それが分かるのは、遠くない先の日だった。
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