幼なじみ

□光が満ちるとき
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「最近、お前変だぞ」

「……架連」

「表情が暗い」

その原因である本人が、陽に尋ねた。

「普通だよ」

自分でも分かっている。

でも、口に出して誰かに言いたくなかった。

「俺がお前に好きって言ったから?」

不安そうに、架連は言う。

「違うよ、架連。それだけは違うからね?」

両手で架連の頬を覆う。

「そんな顔、俺以外に見せるなよ」

「ぇ?」

触れるだけの、軽いキス。

「そういう、困った眼をするな。閉じ込めたくなる」

「ちょっと」

「本気だよ、俺は何時だって。陽を閉じ込めたくて、俺だけのものにしたくて…」

「架連…」

頭を撫でる。

「悪い。とにかく、早く元気出せよ」

架連はそう言って、陽の元を離れた。

「心配、かけさせてるな……」

嫌なのに。

みんなに、俺の事で心を乱して欲しくないのに。

「でも、原因は皆だったりするんだよな…」

主なのは架連だけど…。

千歳が架連の事を好きなのだと気付いた日から、数日が経った。

あの時の胸の傷みはなんだ?

誰に対して、俺は傷ついた?

「ひーなーた」

「優夜っ」

「びっくりした?」

誰だって後ろから抱き付かれたら驚く。

「そりゃもちろん」

「おい、陽から離れろ」

後ろを振り向くと、怜が腕を組んで立っていた。

「いいじゃん、別に」

「俺が気にする」

怜が強引に、陽から優夜を引き剥がした。

「どうかしたの?わざわざこっちにまで来るなんて」

さっきも架連が、わざわざ陽の教室まで来た。

今は放課後だから、部活もあるだろうに。

「ちょっと確かめたいことがあってね」

「確かめたいこと?」

優夜が意味深に言う。

「それより、今日はアイツはいないのか?」

「アイツ?」

怜が辺りを見回す。

「神谷だよ」

「あー。千歳はいないよ」

「珍しいな。いつもベッタリだったのに」

架連と色々あってから、こんな感じだ。

お互いに思う所があって、前みたいに親しく出来ない。


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