好きな人

□〜異変〜
1ページ/6ページ




それから、瑠は吉瀬と何度か出会った。

大抵出会うのは、週2日くらい。多い時は3日とか。

話すのは、いつも他愛もないこと。学校のこととか、会社のこととか、日常のこと。

最初に会った喫茶店で、待ち合わせをして話す。

それが、瑠にとってとてつもない楽しみになっていた。

今まで、バイトが終わって家に帰るだけで満足していたのに。充分楽しい日常だったのに。

でも、吉瀬と出会った今ではそれが物足りないと感じる。

たまに出張で潰れたりすると、ぽっかり空いたみたいにつまらなくなる。

心が満たされないように感じる。

それが何か分からないまま、数ヶ月が経った。




「あれ?姉さん、今日出かけるの?」

休日で、仕事が休みの日に紗季は化粧をしていた。

「ん?ふふ〜。知りたい?」

「うん、まあ。気になるかな」

いつもはただテレビを見ているだけだから。

「あのね?」

「うん。溜めずに言ってくれない?」

「失礼だなっ」

「いいから言って」

服も少し大人っぽいのを着て、バッチリにしている紗季に言う。


.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ