好きな人

□〜旅行〜
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「本当に、来ちゃいましたね…」

「口だけだと思ってた?」

周りは温泉街。人はお年寄りが多く、知っている人はいない。世間では有名な温泉街。
「来たかったんだ、ここ」

瑠の隣で、嬉しそうに周りを見る吉瀬。


今、二人は温泉街に旅行に来ていた。


姉の紗季には、友達と旅行に行ってくると言って。

「旅館に、荷物を置きに行こうよ」

「あ、はい」

吉瀬は、本当に旅行計画を立ててきた。

温泉と言うところが、吉瀬らしいと思う。

「仕事、よく有給取れましたね」

「そりゃ、今までにあんまり休みを取らずに頑張ってたから」

「そうなんですか?でも、そしたら余計に貴重な休みを俺との旅行に使っても良いんですか?」

溜めていた有給と言っても、そこまでの量はないと思う。

それを、俺との1泊2日の旅行に使うなんて。

「瑠くんは、気にしすぎだよ。前にも言ったでしょ?僕は君といるとすごく癒されるし、楽しいんだよ」

「それは……嬉しいんですけど」

「じゃあ、良いじゃないですか」

ほら、と吉瀬は瑠の手首を掴む。

「え、ちょっと吉瀬さん……」

「チェックインの時間があるんです」


いや、と言っても…。

これは、別にしなくても良いんじゃないか?


瑠はそう思いながらも、大した抵抗もせずにそのまま吉瀬について行った。


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