秘める恋
□重なる想い
1ページ/7ページ
たった二日。
でも、唯人にとってはとても長く感じられた二日間だった。
僚が旅立つ当日、唯人は僚と話すことの出来る時間をようやく手に入れた。
「……入るよ?」
「ごめんな、散らかってて」
唯人は僚の部屋に入って、黙ってしまった。
散らかってなどいなくて、むしろ余りにも綺麗だったから。
「本当に……行くんだね」
嫌と言うほど、実感してしまった。
「今日、な」
「なのに、時間取らせてゴメン」
「良いよ。母さんから、話は聞いてたから」
「時間、どれくらい?」
僚は、荷物を持っていない。もう、向こうに送ったのだろう。
「……一時間くらいかな」
短い。
充分に話す時間なんて、ないんだ。
「俺、色々考えてたんだ」
唯人は、部屋の扉に寄りかかった。
誰も入れたくなくて、二人だけにしておきたかった。
「兄さんに会えないのって、どんな感じなんだろうって」
僚と話せない間、一人でずっと自問自答しながら考えていた。
「寂しくて、寂しくて……。きっと辛いんだろうなって」
「唯人……」
「嫌だなって思った。長く続いたら耐えられないだろうなって」
.