秘める恋

□交錯する想い
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唯人が達也とバス停にいると亜弥と会った。

「唯人、くん」

「亜弥さん」

咄嗟に、繋いでいた手を離した。

「こちらは?」

「はじめまして。唯人の友人です」

その達也の自己紹介に、唯人は達也の顔を見る。

「達也?」

「平気、分かってるから」

達也は微笑みながら、唯人の頭を撫でる。

「はじめまして、亜弥です」

そんな二人を見てどう思ったか、亜弥もまた微笑んだ。

「気を付けてね?」

「何をですか?」

「僚に、バレないようにね」

亜弥はそれだけ言うと、二人から離れてどこかへ行った。

「…なんで兄さん?」

「俺はなんとなく、理由が分かるかな」

「……達也は分かるんだ」

「まあな。バスが来た、乗ろうぜ」

「…うん」

達也には分かるが唯人には分からないこと…。

いやだな。

自分も、分かりたい。

同じ想いを共有したい。

「なあ唯人」

「ん?」

バスに座ると、達也が小声で尋ねた。目線は唯人ではなくただ前を見据えていた。

「言えよ、ちゃんと」

「例えば?」

「お前の望む通りにすれば良いからな。嫌になったら、ハッキリ言ってくれ。そしたら、この手を離してやるから」

達也は握っていた手に力を込めた。

「なんで、達也」

そんな事、言うんだよ。

「お前が俺のせいで辛いとか嫌だからさ」

「っ、そうだよ、辛いよ」

「…そうか」

唯人の言葉に、達也はとても傷付いた顔を見せる。

「達也がそんな事言うから、俺は辛い」

「唯人?」
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