秘める恋

□本当の想い
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離れるのが早く、仲直りするのも、また早かった。

唯人と達也は、それからいつものように、人から見たら今まで以上に一緒にいた。

幸せだった。

今まで片思いだった唯人と達也にとって、とても幸せな時間だった。


永遠に続けば良いと思った。



しかし、永遠に…、なんて物は存在しない事を、二人は身を持って実感した。













「なんか、前にも似た事ありましたよ」

達也は、目の前に立っている相手を見据えて言った。

「前は貴方じゃなかったけど」

「悪かったな」

「俺に何か用ですか、僚さん」


達也は、僚の横を通りすぎて言った。


僚が居たのは、達也の家の近所だ。なぜ家の場所を知っているか謎だが、聞く気はなかった。

「唯人とはどう?」

「お陰さまで」

言葉は返すが、達也は僚の顔を見ずに前を歩く。

「唯人は元気?」

「そんな事、俺より、従兄弟でご近所の僚さんの方が知ってるでしょ」

「最近会ってないから」

「避けてるわけじゃないんでしょ」


唯人からは、僚と気まずいといった話は聞いていない。

「まぁ、そうだけど」

「用件は、それですか?」

他愛もない、世間話以下の内容で、わざわざここまで来たはずないだろう。

「…大したことじゃないのは確かかな」

「もう家に着くんですが…」

「唯人のこと、よろしくな」

「――僚さん?」


当たり前だと、言ってやりたかった。

しかし、いつもと僚の雰囲気が違っており言えなかった。






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