秘める恋
□気付く想い
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「分かったの?」
自分でも分からないものが達也には分かるのかと、唯人は素直に驚いた。
「あぁ、そうだ。だから、助けるよ」
「俺を?」
「僚さんと話しただろ?何かあった?」
話をして、何かあったか聞かれたら……。
思い出すのは一つ。
「兄さんが、俺を倒して……。怖がらせたくないから、帰れって……」
「あぁ、その光景が目に浮かぶよ」
「……強引に帰されて、その後話が出来なかった」
ちゃんと、話がしたかった。
でも、もう一度自分から行くのは躊躇われた。
「唯人は、怖かった?」
「ちょっとだけ」
「僚さんのこと、嫌いになった?」
「ううん」
即答で否定した唯人を、達也は僅かに頬を弛ませる。
「嫌いになんて、ならないよ」
僚を思い浮かべる。
でも、嫌いになる要素なんて出てこない。
「会いたい?傍にいたい?」
「……うん」
「触れられないのは、寂しい?」
「……」
「答えは、出てるんじゃねぇの?留学に行って欲しくないって気持ちの奥底、もう判ってるだろ?」
達也は、唯人の胸を人差し指で突く。
「分かってるなら、あとは行動するだけだ。残りは、少ないだろ?」
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