秘める恋
□気付く想い
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誘導されたように考えていけば、思い付く答えはたった一つ。
でも、そうしたら嫌なことに気付いてしまった。
「……達也、俺」
「善は急げ。行ってこい。僚さん、家にいるんだろ?」
「でも……」
「すべて終わって、唯人の望む結果になった時、話そう」
俺の望む結果は、達也にとって悪いものかもしれないのに?
「俺、達也が」
「だから、また話そうな」
達也が唯人の口を塞ぐ。
「終わったら、続きを聞かせてくれ」
手を振り、もう行けと促される。
「行って、くる」
「じゃあな、恋人」
走っていく唯人に、達也の声は届かなかった。
「なにやってんだろ、俺」
唯人が去っていき、一人達也は自己嫌悪していた。
「でも、言ったから。唯人が望む存在になるって」
唯人自身がそれに気付いてなくても。
それが、達也が望む唯人との関係だから。
好きだからこそ、俺はアイツの望む者になる。
それが、俺の唯人への愛し方だ。
「待つよ、今は」
達也にとっては、見えている結果だった。
それでも、達也は唯人を待つことを決めた。
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