幼なじみ

□いつもの日常
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だからって、みんなを嫌いになったことはない。

ただ一つ不安なのは……あまりにも三人が俺にベッタリなこと。

嫌じゃないけど、でも……。

周りから見たら、少し、変かもしれない…。


「陽?」

「ん?なに?」

「なんか、ボーッとしてた」

優夜が陽の目の前で手をヒラヒラさせる。

「ちょっと眠たいだけだって」

「そ?」

「うん。平気」


なんで、俺なんだろう。

こんなに目立ってかっこよくって、完璧なみんななのに、どうして俺なんだろう。


それは、陽がずっと、考えてきて、誰にも伝えていない悩みだった。

「無理するなよ」

怜が陽の頭にポンと手を置いた。

ほら、どの生徒にも冷たい怜が、俺には優しい。

俺には、そんな価値ないのに…。

陽のゆっくりな歩くペースに優夜と怜は無言で合わせる。

気づけば、架連との距離が広がっていた。

「おい陽!遅ぇ!」

架連が仁王立ちして、こっちを見ていた。

その声に、陽は思考を止める。

考えたって仕方がなかった。

だって、四人でいることは、今更変えられない、俺の日常。

自分が小さく見えるからって、みんなといる時の時間を捨てられない。

捨てたくない。

だから、そんなこと、気にしても仕方がなかった。

「ごめん、架連」

陽は、待っている架連の所へ小走りで向かった。



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