幼なじみ
□転校生
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「別に?羨ましいなーって」
「嘘つけ。思ってないくせに」
目立つ友達を持って嬉しい奴なんて滅多にいない。たぶん、別れずに一緒にいれるのは自分くらいなんじゃないかって思う。
「羨ましいのは、目立つ三人の方だよ」
「…それは、分かるかも」
そりゃ、あんな風にかっこよくって頭も良かったら、すごく世の中を渡るのに楽だと思う。
陽は同意するように頷いた。
「…う〜ん。たぶん、俺とお前の今考えてる事はきっと違うかな」
大野は首を傾げて言った。
「…どこが?」
大野の、運動部で日焼けした肌をしている顔と、彫りの深い目鼻を見つめる。
「分かんなくても良い事だよ」
大野は立ち上がって陽の頭に手を置く。
「は?」
陽は顔を上げて大野を見る。
「ほら、チャイムが鳴るぞ」
大野は理解出来ていない陽を放って席へと戻った。
意味が分からない。
他に羨ましいと思う要素はどこにあるのだろう。
その後、数分してチャイムが鳴り、先生が入ってきた。
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