幼なじみ
□変わった日常
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両親の仲が悪いとか、そこだけ聞いてたら良い事じゃないのに、千歳の表情が幸せそうだから、それについては何も言えなかった。
「陽はね?俺にとっての救いだったんだよ?ずっと会いたかった」
「……今はさ、両親どうなったの?」
「引っ越してすぐに離婚したよ。名字も今は母親の姓」
「そうなの?」
ニコニコしていて、ハードな生活をしていなさそうなのに、実は子供の頃に両親が離婚しているなんて。
全然分からなかった。
「まだ、思い出せない?」
「…なんか、微妙な感じ」
「えっと…昔の名字は藤宮(ふじみや)で、髪の毛は黒かったかな?」
「藤宮…」
「陽からは、ちーちゃんって呼ばれてた」
ちーちゃん。
それを聞いた瞬間に、頭の中にあった靄みたいなのが一気に晴れた。
「俺さ、公園のブランコで話を聞いてた?」
幼稚園が終わって、家に帰った後、よく遊んでいた。
よく泣きついて、ようちゃんって呼ばれてた。
何を言えば良いのか分からなくて、ただ親にやってもらって嬉しいことをずっとしてあげた気がする。
それが急に、幼稚園を卒業する前にいなくなって悲しかった記憶がある。
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