幼なじみ
□烈風の空 下
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『陽がすごくつらくなった時、いつでも連絡して?』
千歳の言葉が、頭に浮かび上がった。
陽は今、一人で公園にいた。
家の近くにある、小さな子供ようの遊具が置いてある公園。
昔、千歳の悩みを聞いてあげていたところ。
「分かんないよ、怜」
悲しかった。
自分だけ知らなかったということも。
目を見てくれないことも。
何も話してくれないことも。
確かに、全部を話すことは無理かもしれない。
それでも、少しくらいは言って欲しかった。
でも怜は、何一つ言ってくれなかった。
理由があるなら、そう言ってくれたら良かったのに。
なのに、関係ないってだけしか言ってくれなかった。
今までの何年間、俺は怜のことを分かったつもりになってたのかな?
実は、すごい分厚い壁があって、それを壊せれてないまま、何年も一緒にいたのかな。
そうだとしたら、すごい悲しい。
一方的に知ったつもりになっていた自分が嫌だ。
でも、千歳が転校してきた日、怜は多少は自分に本音を見せてくれたはず。
確かに、そう感じたのに。
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