幼なじみ
□烈風の空 下
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「ねぇ、今は俺の存在必要じゃないの?辛くないの?」
「…それは」
「傷ついてないの?今は、いつもの陽?」
傷ついているのかな。
俺は、怜に冷たくされて、関係ないって言われて、傷ついたのかな。
「大丈夫。聞いてあげる。……ね?」
その言葉で、張りつめていた糸が切れた。
「…ち、とせ……」
そのまま、陽はしがみついて泣き始めた。
静かに、陽は泣く。
たまに鼻をすする音だけがする。
そして、少し落ち着いた頃、陽は話し始めた。
「…怜に、会った。でも、関係ないって言われた。俺と怜は、昔からの幼なじみで。他の人と比べたら、近いと思ってた。でも、それって俺の自惚れだったのかな……?」
「…羨ましいね」
返ってきた言葉は、想像と百八十度違うもの。
…羨ましい?
何が?誰が?
てか、今の話の流れでどうして?
「…俺の話聞いてた?」
「うん。ちゃんと聞いてたよ」
「じゃあ、なんで?」
「だって、そんなに陽に心配されるなんて。色々考えてもらえるなんて。羨ましいな」
…羨ましいのは、怜?
驚きで、悲しかった思いがどっかへ行った。
いつも、千歳は意味深なことを言うけれど、今回はスルーをしにくい…。
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