幼なじみ

□一水の行方 下
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「ひーなーたー」

千歳が、空気を読まない行動を陽に仕掛けてきた。

「ちょっと千歳。今取り込み中だから…」

「千歳?」

陽が肩にある腕を外そうとした時、架連が言った。

「あれ?知らない?この子が神谷千歳くんだよ?」

陽が架連に説明した。

怜は冷たい視線を千歳にぶつける。

「どうも、初めまして。日野さん」

「あぁ」

「あれ?怜とは知り合いなの?千歳」

「うん。少しだけ、話をしたんだ」

千歳は抱きつくのをヤメたものの、陽の頭に自分の頬をなすり付ける。

「ちょっと…」

「陽、俺たちはちょっと話があっていけないから、優夜のこと頼むな」

架連は陽に言い残すと、その場から急ぐようにして去った。

「瑞野さん、どうかしたの?」

「いや、学校を休んでて気になるだけなんだ」

「連絡とか、来てないの?」

「そう、珍しいんだよね…」

「心配だね、陽」

千歳が、かすかに笑ったように見えた。

「光下!瑞野さんの家に行くのか!?」

「…煩い、大野」

耳元で叫ぶに近い声で言われた。

相変わらず、元気だ。

「行くけど、なんだよ」

「いいな〜。幼なじみ。仲が良くって。俺もお前みたいなのが欲しかった」

「は?意味が分かんないし……」

陽と大野が話している間、千歳がスッと教室から出て行った。


それに、陽は気づかなかった。



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