幼なじみ
□陽が陰る時
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「俺が来るってどうして分かってたんですか?」
「去る俺を陽が追ったからだよ」
千歳の姿は、いつも陽と一緒にいる時のような柔らかい爽やかな雰囲気とは違っていた。
架連にとって、その雰囲気の千歳を見るのは初めてだった。
「気になるだろ?俺が陽に何をするか」
「…」
「もっと早く来るかと思ってたが……陽と何か話したか?」
読めない。
怜や優夜も表情から気持ちを読みにくいが、千歳はそれ以上だ。
「貴方には、関係ない」
「確かにそうだ。俺には関係ねえな」
千歳が隠れて、今何をしてようが関係はない。
しかし……。
「だが、今まで怜や優夜にあった事、あれは関係あるな」
千歳に近寄る。
「お前が関わってたんだろ?千歳?」
架連は千歳を扉に追い詰めて、逃げられないようにする。
「証拠はあるんですか?」
「…勘かな」
「そんな不確かなもので、俺に何を言うつもりなんですか」
かなりの至近距離にも関わらず、千歳は逃げずに架連をじっと見てくる。
大した度胸だ。
可笑しな感心を覚えた。
「俺達になんでちょっかいをかける」
確証はないが、分かる。
優夜があそこまで変になったのも、怜が精神的に怪しくなったのも、千歳が何かしたからだ。何か声をかけただけでも、十分な程の何かを。
「その、俺達っていうの止めてくれませんか?」
「は?」
「陽はあんた逹の物じゃないでしょ」
それを言われて気付いた。
「あぁ、お前は陽のことが好きだったよな」
「好きですよ。俺を救ってくれた子ですし」
その言い方が気になった。
「自分の好きな相手に、混乱させるような事態に遇わせるか?普通」
「何がですか」
「優夜と怜のことで、アイツがどれだけ悩んだか知ってるだろ?」
二人の不安定さに、陽は悩み、そして救った。
結果、二人から告白を受けることになったが…。
「だから嫌なんです。あんな人達の為に陽が悩むなんて」
「じゃあ、次は俺に何か仕掛けてくるか?」
怜に優夜、そう来たら、順番から架連だろう。
「何言って…」
「違うのか?」
架連は挑発するように、千歳の頬に触れた。
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