好きな人
□〜異変〜
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「拓巳さんと、お食事なんですっ」
「…おぉ、すごいじゃん」
言われて、紗季がこれだけはしゃいでいる理由が分かった。
「でしょ?」
「なんでそこまで発展したの?」
「よくぞ、聞いてくれました!」
紗季が身を乗り出して言うから、一歩引く。
「えっと、時間は平気?」
「うん。だから、聞いて?」
「いいけど……」
「仕事で一緒になったの」
「あぁ、プロジェクトが一緒なんだっけ?」
前に聞いた覚えがある。
「それで話すようになって、本日に至るわけですっ」
またもやピースサインをする紗季。
「良かったね」
それは、心の底から思う言葉。
これで、紗季の思いが叶うと良いな。
「うん。ありがとう」
瑠が本当に思っていることが分かった紗季は、瑠の頭を撫でる。
「楽しんできてね」
「うん。がんばります」
「おう、ファイト」
手をヒラヒラとさせて、瑠はご機嫌な紗季を見送った。
「さて、今日は俺もヒマか……」
元々、吉瀬と会うのは休日が多い。
休日なんて、今までに数回しかない。
社会人だし仕方ないと思うから何も思ったことはないけど……。
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