長編2

□標的1
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天音side

瑞希が事故で亡くなった。
即死だったらしい。

ボールを追いかけて飛びたした子供を庇って引かれた、と聞いている。

まぁ、瑞希らしいといえばらしいが……。
それでも後先考えず行動に移してしまうのはやめてほしい。
助けられた子は軽傷だったそうだ。

今私は瑞希の葬式に出席している。

瑞希とは幼馴染みで、小さい頃から何をするにもずっと一緒だった。
私の両親が亡くなったときも、ずーっと側にいてくれて心強かった。

それだけに、未だに信じられないのだ。

「天音ちゃん!来てくれてありがとう。このあと火葬なんだけど……」

瑞希のお母さんが遠慮がちに話し掛けてきた。

「行か……ないです。……すみません。」

「いいのよ!そうよねぇ、急にこんなことになっても受け入れられないわよね。私たちもそうだったから…。」

この人は本当に優しい。
気遣わなきゃいけないのは私のほうなのに。

「天音ちゃん。また、遊びにいらっしゃいね。」

会場から出る際に優しく微笑んで言った。

いつも通りすぎて余計に悲しくなった。
まるで、現実から目をそらすなというように…。

その時はまさか瑞希の遺体が消えて、私も同じように消えるなんて思ってもみなかった。
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