短編

□HAPPY HALLOWEEN
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只今私天音人生初(!?)の大ピンチを向かえています。

はい。
実は天下の雲雀様に押し倒されております。

え?なんでそんなことになってんのかって?
いや、そんなこと私の方がしりたいんですけど・・・

つまり、自分でもいまいち状況をつかめてないんですよ。
どうしたことでしょう。

ただ、応接室の前を通っただけなのに(グスン)

「ねぇ。さっきから誰にしゃべってるの?」

ん?さっきよりも顔が近い。
ヤバッ!何か顔を隠せるものないかな?

「ねぇ天音。聞いてるの?」

わわっ!雲雀様が怒ってらっしゃる・・・ってあれ?聞いてるのって何か言われたっけ?

「はぁ。」

え、え〜〜なんかため息つかれた
いろいろと、ショックだなぁ。
なんだろう、もしかしなくても心が読まれてるんじゃ・・・(読心術!すごっ)

「いいかげんにしてよ。僕だってひまじゃないんだ。」

は、はぁ・・・
暇じゃない。それならば何故私が雲雀さんに押し倒されていなければならないのでしょうか。

よし、ここは勇気を振り絞って!!
「あ、あのぉ。」

「あぁ。やっと反応してくれたかい。言いたいことがあるなら口で言わないとわからないよ。」

こっちがどれだけこの状況を理解するのに苦しんでるかわかっちゃいない。
なんか、ムカついてきた。と思ったが最後。
とうとう私の堪忍袋の緒が切れたようだ。

「なんで私があんたみたいな人に押し倒されてなきゃなんないわけ?『ひまじゃない』だと、ざけんじゃねーよ。ひまじゃないんならさっさとどけよ。ってか私を解放しろよ!」

はぁ、はぁ、はぁ。
一気に言いたいことを言ったからだろうか。
息はすっかり上がってしまったがすごくスッキリした。

ん?アレ?自分が今言ったことを頭の中で繰り返してみる。
顔から血の気が引くのが分かった。

私なんてこと言ってんの
やばいよ。咬み殺されちゃうよ。
ごめんなさい。お父さん、お母さん。
私の人生はたった15年で終わってしまうようです。
せめて、遺書でも書かせてくれないかな?

「何一人百面相してるの?」
そんなことしておもしろいと聞いてきた。

誰が?だって。そんなの決まってるじゃないですか天下無敵の雲雀様ですよ。

「さっきの、答えだけど。」

さっき?私何か言ったか。

「もう。忘れてるみたいだね。そんな天音には、お仕置きが必要だね。」

・・・はい?お仕置きですと!
まだ死にたくないよぉ。神様・仏様・・・アレッ?このあと何言えばいいんだっけ。
まぁいいや。とにかくやり残したことはいっぱいあるのよ。

と、一人で葛藤していたので気づかなかった。雲雀さんの顔が私の耳元にあることを。

「天音。確か耳が弱いんだったよね。」

一呼吸置いた後に聞こえた声。
「trick or treat」

流暢な英語で呟かれたソレは、私の心を奪っていく。

一瞬にして恋に落ちた。
いや、多分ずっと前から意識はしてた。

野球部のマネージャーをしていた私は、山本君を弟のようにかわいがっている。
そんな山本君が雲雀さんと結構仲がよさそうなのを見て嫉妬していた。

これは、山本君をとられたからとかじゃなくて雲雀さんをとられたからだったんだ。

今更ながらに自分の気持ちに気づいてしまった。

はやく返事を返さなければと思ったがのどがかわいて声が出ない。

出てくるのは空気だけ。

そんな私の口をふさいで「天音はもう僕のものだから。」と耳元で囁いた。

私は顔を真っ赤にしながら首を縦に振ることしかできなかった。

それに満足したのか雲雀さんは今まで見たこともないような笑みを浮かべて私から離れていった。

そして、「あと、恭弥って呼ぶこと。」
といって応接室を出て行った。

残された部屋にはしばらくの間フリーズしていた私。

廊下ではものすごく機嫌のいい雲雀さんが目撃されたとか。
 

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