短編

□雪だるま
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学校の帰り。
公園で小学生くらいの小さな子供達が雪雪だるまを作っているのを見た。

今年は受験生。
正直遊んでる暇などない。
外部受験をする人よりかはまだマシだが、進級試験も大層辛いと兄が言っていた。

今年の夏、青学男テニは全国で優勝した。
よって、私の幼なじみである菊丸英二。こいつは高等部への進級が既に決定している。

今も一緒に帰っているのだが、見ていてイライラする。

まるで私の心を読んだようなタイミングだった。私の目の前に差し出された不格好な小さい雪だるま。

「!」
「ビックリしたかにゃ?」

「‥‥」
「おっ、怒っちゃった?ほら最近天音さぁ元気ないし、いつも眠そうだからさぁ。ちょっとでも元気でればいいにゃぁって‥‥「‥‥‥プッ」!!」

突然吹き出した私に、一瞬驚いていたがすぐに満面の笑みを浮かべた。

「天音〜。今笑ったでしょ」
「だって、その雪だるま凄く不格好だし。笑い堪えるの大変だったんだからね」

不格好という言葉を聞いて頬をプクッと膨らませたがすぐに笑顔に戻り、雪だるまをそっとベンチに置いた。
そして私の前に手を差し出した。

そういえば、昔もよくこんなことしてたなぁっと懐かしく思った。
昔のように英二の手に自分の手を置いた。
すぐにギュッと握り私達はそのまま家路に着いた。

たまにはこんなのもいいかもしれない。
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