短編
□青春サワー
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『京子ちゃん!』
『あれ、ツナ君。今帰り?』
『う、うん。そうなんだ。』
そんな二人のやり取りを応接室の窓から見ている女子生徒が一人。
彼女はツナこと沢田綱吉の従姉で同じ並中に通う三年生なのだ。
『そっか。それじゃぁ一緒に帰ろう!』
「ばかツナ。そこは普通ツナから言うべきよ。」
『うん!…あっ、じゃあ家まで送るよ。』
『ありがと。行こっ!』
「よくやった!」
ツナは見ていてよく分かる。
確かに京子ちゃんはかわいいと思うし、素直でいい子だ。
「青春。いいわねぇ。」
にっこりと笑ってソファーに座っている恭弥を見る。
「くだらないなぁ。…天音はそんなのがいいのかい?」
「ふふっ。いいと思うわ。」
「ほんと、くだらない。」
もう一度くだらないと言った恭弥に苦笑して、外に視線を移す。
季節はまもなく冬。
日が落ちるのは早い。
「もう暗いし送ってあげるよ。」
すぐ後ろから声を掛けられた。
「一緒に帰ること。これも“青春”なのかもね。」
「…くだらないよ。」
恭弥は少しムッとした。
「そうかもしれないわね。」
天音はそう呟いて先を行く恭弥に抱きついた。