短編
□狂ってる
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天候は嵐。
とあるファミリーの屋敷の中。
「全く…キミ達弱すぎだよ。相手にもならない。」
ボンゴレファミリー雲の守護者―――雲雀恭弥。
ボンゴレと同盟を組んでいながら、敵対しているファミリーに情報を流していたことが分かり、粛清のため彼が派遣された。
本来ならば、雲雀が行くような任務ではない。
しかしながら、この事件にはボンゴレの幹部が裏で糸を引いていることが判明した。
これ以上ボンゴレに悪い噂を広めないためにという10代目の判断だった。
とある部屋の前で立ち止まる。
すると、扉が勝手に開いた。
「!」
「大丈夫よ。もうこの屋敷には私しかないわ。」
どうせ下の階にいた雑魚は彼方が殺したのでしょう。
と、ニヒルな笑みを浮かべて雲雀に言う。
「ここのボスなら私が殺したわよ。だって、バレちゃったんだから仕方ないわよね。」
「そう。じゃあ次は君の番だね…天音。」
トンファーを構える。
「やる気ね。…いいわ。一度あなたと本気で戦ってみたかったの。」
短剣を構える。
今までで一際大きな雷が鳴った瞬間。
長時間に及ぶ二人の長い戦いは始まった。
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「やっぱり・・ひ・ばりは・・・強い・・わね。」
「…天音は「あなた・・に殺されるの・・な・・・ら・・・・・本望だわ。」…っ。」
息も絶え絶えの天音を抱きかかえている雲雀の顔は悲痛にゆがんでいる。
「私の負けよ。・・・さぁ・・殺しなさい。それが、あなたの・・仕事でしょ?」
「ねぇ。僕はずっと天音のことが「言わなくていい。分かってるから。」君を一人にはしない。」
天音のスーツのポケットから液体の入った小瓶を取り出した。
「!?雲雀…ソレは・・・ダメ。っん。」
雲雀は口にその液体を含み天音の口に移した。
天音がソレを飲み込んだのを横目で見ると、自分も残りの液体を飲み込んだ。
そのまま二人は床に崩れ、先ほどの小瓶が転がった。
小瓶には“毒薬”というラベルが貼ってあった。
嵐はいつの間にか過ぎ去り、屋敷には誰一人として生きているものはいなかった。