宝物
□kiss me!!
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永倉さんの住んでるマンションに移り住んで早1年。
私の部屋は永倉さんの隣で、週末はどちらかの部屋に泊まるのが暗黙の了解になっていた。
今日は永倉さんの部屋に泊まるはずが…
「はははっ!!美夜ちゃんらしいぜ!」
「そんなに笑わなくてもいいじゃないですか…」
間違って、自分の部屋に帰った事。
合鍵を使って、彼氏の部屋に入る事に慣れないと話したら、豪快に笑われてしまった。
「でもよ、合鍵使って使って部屋に入るのに慣れないなんて、可愛いじゃねぇか…」
我慢出来ねぇし。
気が付けば私の目の前は彼の胸で、きつく抱きしめられていた。
「このままデザート…と、いきたい所だがな、これで我慢しとくわ」
言葉と同様、優しいキスが降ってきた。
唇が離れて、額を合わせクスクスと笑い合う。
「永倉さん、あの…」
「おぅ、どうした?」
もっとキスして欲しいなんて言ったら、嫌われてしまうのかな。
「あの、えっと…やっぱりいいです!」
「え?いいって、なぁ」
恥ずかしい。
やっぱり恥ずかしい。
チラリ、と永倉さんを見ると、何かを期待しているかのような目付きでこちらを見ていた。
「なぁ、美夜ちゃん。俺はよ、女の扱いに慣れちゃいねぇし、気の利いた事も言ってやれねぇ。だからよ、思った事は言って欲しいんだ」
真っ直ぐに私を見ている瞳の奥の淋しさに気付いて、思い切って告げた。
「えっと、あの…もっと…して、ほし…」
「え?何だって?」
「永倉さんのキス、大好きだから…もっとしてほし……んんっ」
続きは言わせてもらえなかった。
唇が離れて、そっと囁かれた一言に私はそっと頷いた。
「あんまり煽らないでくれ。優しくしてやれねぇだろ。つぅわけで、今から美味しく頂いてやるからな」
end.