宝物

□幸せを感じる瞬間
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朝目が覚めて、腕に感じる心地よい重みと、規則正しい寝息。

カーテンを開けると太陽の光がダイレクトに射し込んできて


「まぶしい…」


目を閉じたまま、しかめっ面で、俺に擦り寄ってくる様はまるで猫みてぇだ。

額に掛かった髪をそっと横に流してやれば、くすぐったそうに笑う。


「美夜、起きてるだろ…」

そう告げれば、「バレてた?」と、苦笑い。


ったく。可愛いすぎだろ。
「わ…私、朝ごはん作りますね」

そう言って、ベッドから起き上がり「キャッ!!」と、また、潜り込んでしまった。

「どうした?」

「み…見ないで〜!は、裸だから…」


何度肌を重ねても、朝になると見ないでくれと言う。
布団から真っ赤に染まった顔を出して、あっちを向いてくれなんて言われたら、意地悪してみたくなった。

「何を今さら…美夜の裸は毎晩見てるだろ?」

「もう!左之さんの馬鹿!!」


と、そっぽを向いてしまった。
ちょいと悪戯が過ぎたみてぇだ。


「悪かったよ。機嫌直せな?」

背中にそっと口付けると、くすぐったそうにピクッとしたものの

「知らないもん!」

何て言うもんだから、やっぱり俺は意地悪で。

「じゃあ、どうすりゃ美夜の機嫌は直るんだ?」

耳元でそっと囁いて、ペロッと舐めればほら


「あのね…キ、キスして?唇に…」

「了解」


恐ろしい位に優しいキスを落とせば、うっとりした瞳で俺を見る。


「その顔…やべぇな…」

「え?」


爽やかなはずの朝は、熱い朝となった。


幸せだからいいじゃねぇか。

な?





end


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