宝物
□甘い誘惑
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「美味しいですか?」
「あぁ。甘くて美味いよ。美夜も食べろよ」
隣のおばぁちゃんから頂いたスイカを井戸水で冷やして、左之助さんが切り分けてくれた。
「ほら」
「はい、頂きます」
冷たくて甘くて
あぁ夏だなぁなんて思った。
「なぁ、口の端についてる」
そう言ったと思ったら、急に顔が近づいてきて
ペロリ
と舐められた。
「な、な…何するんですか!」
恥ずかしくなって、俯いた私に爆弾が落とされた。
「誰も見ちゃいねぇよ。それにいつも、もっと恥ずかしい事してんだろ?」
その甘くて低い囁きに弱いと知っててわざと言っている。
「意地悪…」
「美夜限定でな」
そっと押し倒された縁側に、食べかけのスイカと蚊取り線香。
夏の思い出。
終
甘モノは別腹です