宝物
□月日
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あれから一年の月日がたった。
私が彼に告白して、ちょうど一年―。
彼と出会ったのは、学校の入学式。
一つ上の先輩で、竹刀を振る姿に見事に一目ぼれしてしまった。
赤毛に琥珀色の瞳。端正な顔立ちに優しげな顔。
彼は女性に人気があり、彼に近づくため剣道部のマネージャーになるのも苦労したりした。
した。
マネージャーになって、ますます彼を好きになった。
豪快で、優しくて、よく面倒を見てくれて。
――こんなに人を好きになったのは初めてだった。
だから―去年の今日の日、彼に告白することにしたのだ。
◆◆◆
「懐かしいもんだよな」
彼―左之助さんは当時を思い出すように言う。
私もつられて笑いながら私もつられて笑いながら、
「ですね…。まさか【俺も好きだ】って言われるなんて思わなかったし。」
やぶれかぶれで告白した当時。
“あ…あのっ、初めて見た時からすすす、好きでした!付き合ってください!”
思えばあの時左之助さんは笑ってたっけ。
“…俺も好きだ”
その答えが返ってきて、抱きしめられたときは夢かと思った。
でも、夢じゃない。
今もこうして続いているんだから。
「俺たちはこれからもずっと一緒だ。こうまで好きになった女は初めてだからな。ずっと俺と物語を奏でていてくれな」
左之助さんの言葉は―
私の中にあたたかく沁みていった。
―fin―