短編

□出逢い
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「お前、名は?」


「え……琉川です。琉川愛紅」



「琉川か。よし、着いて来い。丁度今は稽古中だ」


「!」



まさか了承してくれとは思わず、俺は礼を言ってから二人の元へ駆け寄る。




「勝手に良いのかよ斎藤」


「良いだろう。見学だけなのだし」



二人は道場の中に入ると、斎藤さんが俺も入るように促す。



中に入ると、道場内は思ったよりも狭かった。



こんなもんなのか…?


いや、確か兄貴が此処は田舎道場って言ってたし…人数も少ない。




「あれ?斎藤くんに左之さん、その子入門希望者?」


「おお、総司」




総司と呼ばれる男が俺達のところに歩み寄ってくる。




「いや、彼はただの見学者だ」




"彼"…。



ってことは俺完全に男に間違われてるって訳か…。


まあしゃあねぇか。


女に見られる方が珍しい。


袴姿だし髪短いし、こんな言葉遣いだしな。


おまけに声も低めときた。


俺間違えて女に生まれてきたんじゃねぇのかな…。



…まあ男として生きたいんだから好都合だよな、うん。




「ふーん」



…なんで俺コイツにこんなに見られてるんだ?
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