短編
□出逢い
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じーっと舐めるように上から下まで見、終わると口を開けた。
「ねえ君、僕と手合わせしない?」
「は?」
「おい総司、いきなり何言うんだ?コイツは今日ただ見学しに来ただけで…」
「別に手合わせしちゃいけないって規則無いし良いじゃない。良いことに今は土方さん達は留守だ」
「いや、それが一番不味いと思うのだが…。そんな勝手に」
まさかの展開だ。
ただ見て帰るだけの予定だったのに。
「それにこの子、刀差してる。ってことは初心者じゃないし問題ないでしょ」
そう言うと、二人の意見を聞かずに竹刀の準備をし、稽古をしていた人にも空けるように頼みに行った。
つーか、俺に選択権はねぇの?
思わず溜め息が零れた。
「さあ、やろうか♪」
その笑顔がなんか腹立つ…。
だが何を言っても状況は変わらないだろうと思い、俺はついに腹を括った。