短編
□握り飯
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「何の用かしら?まさか手伝いに来てくれたの?」
微笑みながらつねさんは、有り得ないことのように僕らに聞いた。
「そのまさかですよ」
「え」
つねさんは心底驚いた顔をした。
またそれは愛紅も同じだった。
驚いた顔で僕を見つめる。
その愛紅の両肩に触れ、僕はつねさんに言う。
「この愛紅が、つねさんのお手伝いをしてくれるそうで」
満面の笑みでそう伝うと、愛紅は固まった。
「…お、お前!何を言っ…」
「まあ本当に?ならお言葉に甘えさせて貰おうかしら」
「どうぞどうぞ☆」
僕が了承するとつねさんは、手を動かしながら何をして貰おうか考えた。
よし、僕の計画通りだ。
作戦が成功して思わず笑みが零れる。
しかしその反面、愛紅は不機嫌のよう。
「お前…一体何を考えてんだよ…!!」
「そんな怒らないでよ―。ただ僕は、君の手料理が食べたかっただけなんだからさ」
「俺の手料理?」
「ああ。作ってくれたことないだろ?」
「…苦手なんだよ料理…。何をどうしたら良いのかも解らねぇ…」
あー、なるほどね〜。
なんとなく解ってたけど。