短編
□出逢い
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二年前の話をしようか。
まだ俺が江戸に兄貴達と暮らしていた頃の話だ。
俺は、刀は長男の大志[タイシ]から教えられていたから、道場なんて通っていなかった。
兄貴は強かったし、そんなの必要ねぇと思ってたからだ。
だが、俺はいつの間にかその兄貴さえも超えた強さを手に入れていたらしい。
だからかそんなある日、大兄に道場に通うことを薦められる。
強くなりたいのなら、ちゃんとした師範の元で学んだ方が良いと。
面倒だったから俺は拒否ったんだが、余りにも大兄の睨みが怖くてな…。
まあ見学だけならということで乗り気じゃなかったんだが、近くの道場に行くことになった。
まさかその道場が俺の人生を変えてくれるなんて、夢にも思わなかったがな。