キセキノウタ

□第7話:入部希望!?
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「あ、龍聖。今帰りか?」



 結局。



 軽音部の部室となって行く音楽準備室で、律、澪、健、そして紬の4人は、新たな入部希望者を待っていたのだったが埒が飽かず、マックスバーガーで対策を練ろうと事になり、だらけた会議?の結果、それぞれが勧誘のチラシを作ろう、となんともまぁ当たり前の案に落ち着き、時間も時間なので解散する事になったのだ。



 そんな4人が下校途中の龍聖と、バッタリ出会した。



『だったら?』

「むっ!? 無愛想だな、たっつん。そんなんじゃ益々勘違いされたまんまだぞー?」



 だが律はその表情だけで、なんとなく言った言葉を汲み取り、それ故に無愛想に返した龍聖をさして気にする事なく、何時ものノリで返す。
実際、澪の時もこうやって根気良く健と2人で絡んだのだ。



『干渉されずに済むなら、その方が有り難いね』

「むきーっ!なんて言ったか判んないけど、随分トゲがある言い方だな、おいっ!」



 流石に腹を立てた素振りを見せて、律は両腕を振り上げて抗議するが、言った本人はそれを無視して歩き出す。



「龍聖っ!あの、良かったら途中まで……」

『悪いが姉貴ん家……鎌倉の本家へ呼ばれてる』



 一緒に帰らないか? と声を掛けたものの、龍聖に先約がある事を告げられ、澪は「そっか」と肩を落として呟いた。



『も少し言い方ってのがあるだろうに……』

『鎌倉、ですか? それじゃあ途中まで一緒ですね!』



 溜め息を吐きつつ健が言えば、紬は嬉しそうに龍聖に話し掛けた。



『む? 確か1組の琴吹紬、か。軽音部……田井中に無理矢理入部させられたのか……』

「カッチーンッ!本当に失礼なヤツだな!ムギはあたし等と一緒にデビューして、ギャラは4:3:3で、たけぽんはノーぎゃあっ!?」

「だから捏造すん、なっ!」



   ゴツンッ!×2



 本日2回目のダブルチョップを食らう律。



「まったく……。ムギは自分から入部を言い出してくれたんだ。……元々合唱部に入部するつもりだったんだけど」



 溜め息を吐きながら、澪はムギが入部した経緯を語った。



『アルバラート君の授業、とても解り易くて楽しかったわ』

『そらどうも。それと済まないが、姉貴が迎えが来るんでな』

『そうですか……。残念です』



 ムギもまた、別に臆することなく龍聖に対して、授業の感想を口にした。



『あぁ。丁度いい。琴吹氏に伝言を頼まれてくれるか?』



 近付いてくる真っ赤なジャガーを確認しつつ、龍聖はムギに伝える。



『なんでしょうか?』

『近日中に「慧鷹スペシャル」を受け取りに、店舗へお邪魔する、と』

『「トシタカスペシャル」……? あの、父とは……』

『面識はまったくないが、そう伝えてくれれば判る』



 それだけ言うと、すぐ隣りに停まったジャガーに乗り込んで、挨拶もそこそこに走り去って行った。










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