キセキノウタ
□第3話:コミュニケーション(前)
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「おーいっ、恭弥ーっ!」
「………煩いのが来た………」
初めてのHRが終了し、それぞれが下校の準備を始めていた。そんな中、律が
「せっかく仲良くなったんだから、これからマックスバーガー行こう!」
と言い出したのだ。その意見に対して、健や恭弥、奏太に修司は快く返事をし、澪も律や健がいるなら、と渋々了承した。
「(あ……アルバラート君にも……っていないっ!?)」
そう思って声をかけようとして振り返ったが、既にその姿はなく、律達に一声かけてから龍聖を探しに行って、中々戻ってこない澪を探しに律達が屋上に来てみれば、何事かをブツブツ呟いている澪がいた。
そんな澪を連れて、漸く下駄箱まで来た時、妙にテンションの高い声が恭弥の名前を呼び、恭弥はウンザリした表情になる。それを見て、奏太と修司は苦笑いを浮かべた。
「大親友の俺様を置いて行くなんて、ひっでーじゃないか!」
「……誰が大親友だっ!」
ドゴォっ!
「げふぁっ!?」
蹴り飛ばされる、自称恭弥の大親友。
「さ、あのバカはほっといて行こうか、田井中さんに秋山さん、長津田君」
「あ、あぁ……」
澪、律、健の3人は、恭弥に促されて下駄箱を後にした。
「だ、大丈夫なのか……?」
「あぁ、平気平気」
「あ、秋山さんは、か、関わらない方がいいよ?」
「あぁ、そうだな。あのテンションは俺達も無理だが、秋山さんにとって鬼門になりかねん」
心配する澪に、恭弥はアッサリと返し、奏太と修司が関わるな、と忠告した。それを聞いた律と健は苦い顔をして互いに顔を見合わせた後、澪をチラリ、と見た。
その奏太と修司の一言で、あの自称恭弥の大親友とやらは、澪にとってあの出来事の二の舞になりかねない、と直感が告げたのだ。
「……大丈夫か、たけぽん……?」
「……澪程じゃないけど……。それに律と澪に約束したから、なんとか……」
ヒソヒソと話す律と健に、恭弥達は首を傾げたが、どうやら澪に関する事だと何となく気付いた為、敢えて知らない振りをした。
「秋山さん、出来るだけあのバカを阻止してみるけど、何だったらさっきの俺みたいに、ぶん殴っていいから」
「へっ? あ、う、うん……」
恭弥は苦笑いを浮かべながら、澪にそう告げると、澪は曖昧に返事を返した。
第3話:コミュニケーション(前)
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