BBS劇場

□α
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「幸せブレイク」(唯←梓)





12月といえばクリスマス。



そういう事で街はすっかりクリスマスモード一色に染まっていた。

通りを歩けばLEDのイルミネーションと赤いリボンが可愛く飾られたツリーがあちこちに見かけられる。

ショーウィンドーのディスプレイではサンタさんに赤鼻のトナカイさんの人形が首を振って歌ったりしてる。

そんな街中に私はいた。



「うわぁ。もうすぐクリスマスだねぇ」



ギータを背負いながら、人待ちがてらぼんやり辺りの景色を眺める。



「クリスマス、クリスマス、もうすぐもうすぐクリスマス〜♪」



うれしいなったらうれしいなー、なんて即興の鼻歌でふんふん唄ってると斜め前のケーキ屋さんからスーツを来たサラリーマンが出てきた。

手には買ったばかりのケーキ。
しかしクリスマスはまだ先。
なんのケーキだろう。



「おお。ケーキ……もう?なワケないかあ。子供の誕生日とかかなあ〜?」



私の考えを裏付けてくれるように、サラリーマンのお父さんの横顔はとても幸せそう。

見ているこっちも幸せになりそうな感じの笑顔。

いいないいな、ああいうお父さん。私もケーキ買って帰ろうかなあ。
ケーキって見て幸せ食べて幸せな一品だよね。

憂と一緒に二人で食べたらもっともーっと幸せになれるよねー。

なんて思ってると。



「うぉあっつ!!」



サラリーマンのお父さんがコケた。

目の前で。ずべっと勢いよく。

道の小石にでもつまづいたのか、まるでドリフのように見事にすっころんだ。

買ったばかりのケーキといえば……とても残念な事になっていた。

お尻の下にあるおせんべい状になった箱。

おそらく中でおせんべいになってるケーキ。

そして哀しい声をあげるコケたサラリーマンのお父さん。



「あ、あああ、ああああ……」



もうそれだけで泣きそう。

というか泣いた。



(うあああああ――――……っ)



心の中で悲痛な叫びをあげつつ目から涙を零した時、後ろから声が掛かる。










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