BBS劇場
□θ
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「風邪とリンゴとリスと」
「いっしょにおでかけしたくても〜やっぱりおうちでおるすばん〜♪」
「……何の歌ですか」
「そんなときは、犬カゴ!私は犬。犬だワン。あずにゃん連れてって〜♪」
「唯先輩。風邪なんですから無理しないでください」
最近急に冷え込んだせいか、私こと平沢唯は風邪をひいてしまった。
しかもなんということでしょう。クリスマスパーティの日に。
学校はお休みでも軽音部の部室をつかえるようにと和を通して許可までもらったのにもかかわらず。
そのパーティに連れだって行く予定だったあずにゃんが私の枕元でかいがいしく看病してくれている。
優しいあずにゃんに甘えて八つ当たり気味にくだを巻いていた。
「うぅ。あずにゃんのいじわる〜」
「いじわるじゃないです。唯先輩が風邪ひくのが悪いんです」
「……ずみまぜん」
「ほら。今、リンゴ剥いてあげますね」
「わーい」
あずにゃんの手によりくるくる手際よく剥けていく美味しそうなリンゴ。
それが八等分にされてあずにゃんが私の口に運んでくれる。
「はい。あーん」
「あーん……むぐむぐ」
ん、美味しい。
たぶんそれはあずにゃんの優しさがプラスされているから。
風邪にリンゴ、それにあーんは鉄板だ。
クリスマスパーティに行けなかったのはとってもとっても残念だったけれど、こうして風邪ひいてあずにゃんに看病されるのも悪く無いかもしれないなんて思った。
もぐもぐ。あーん。もぐもぐ。
それを繰り返していたら、あっという間にあずにゃんの剥いてくれたリンゴは全部お腹におさまった。
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