BBS劇場

□ι
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カゼの距離




「え?唯先輩が?」

「ぅん…」


ある日、唯先輩が風邪を引いた


憂からそれを聞いて、なぜかメールチェックをしちゃって


来てないことに、少しだけ肩を落とす


…ぅん…唯先輩は私を後輩としか思ってないかもだけど…


私は違う…


私は…唯先輩が好き…


主語を抜かしての会話も面白いし、何よりあの柔らかい笑顔に


何度も胸が弾んだ…


「…それで、唯先輩の体調は良くなってるみたい?」


「ううん…あんまり…明日まで熱が下がらなかったら、病院行くって…」


そんな病院とは無縁そうな唯先輩が…風邪を…


他の先輩方は知ってるのかな…


私だけ知らなかったのかな…


そう思うと、チクリと少しだけ胸が痛くなった


「あ、あのね…梓ちゃん…」


憂が何かソワソワしてる


「どうしたの?」


「その…実は、お姉ちゃんから梓ちゃんには黙っててって言われてるの…」


「…ぇ…」


私には…黙ってて…って…


私には…知られたくないってこと…?


なんか…すごく苦しいよ…


だって…っ


「ち、違うの!あのね!“あずにゃんは心配性だから、心配かけたくないんだぁ”って言っててっ」


「………」


…………そりゃ


心配しますけど………


だからって何も黙っててって言わなくても…っ


「…もう…」


でもよかった…


嫌われたわけじゃないんだって安心した…


「…お見舞い…に…行ったら…」


迷惑かな…


小さな声でそう零すと


「ううん。お姉ちゃん、きっと喜ぶよ!」


憂は優しく笑ってくれた


「…うん!お説教もしないとね!」


「あ、梓ちゃん…?」


だから私も笑った









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