BBS劇場

□κ
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「大掃除」




今日は大掃除の日。
皆で頑張って軽音部の部室を一年の感謝をこめて綺麗にするのです。
各自それぞれハタキ、ホウキ、チリトリ、ぞうきんなどを手に持ってお掃除中。
そして……

「あずにゃーん、見て見てー!」

唯先輩が何かを見つけたようです。

「何ですか?」

「ほら。見てコレ。まっくろくろすけがいるよ!まっくろくろすけ〜♪」

言われて唯先輩の指差した所を見ると、5cm位の大きな綿ぼこりがありました。
……唯先輩……

「えーと……」

「丸くって大きくって、最初びっくりしたよー」

キラキラ笑顔でそう言ってくるんですが。
感性が子供のままなんでしょうか。
これをまっくろくろすけと言う唯先輩が可愛すぎます。

「可愛い……」

思わず心の声が出てしまったのに、慌てて自分の手で口を塞げば何を勘違いしたのか唯先輩は

「ねーあずにゃん、コレ可愛いよねー」

まっくろくろすけを指差し、そう言いました。
なんでしょう、この可愛らしい人は。
その年齢でそれは犯罪だと思います。狙ってやっているんでしょうか。
……たぶん天然なんでしょうね……
少しため息を吐いて、呆れた顔をわざと作りながら言います。

「唯先輩。遊んでないでお掃除しましょうね」

「はーい。じゃあまっくろくろすけ。おまえはゴミ箱に行こうね〜♪」

素直なお返事を返してくれた唯先輩はまっくろくろすけをゴミ箱に入れ、またホウキでお掃除を始めました。
ふんふん鼻歌を歌いながら。
その背中を見ているだけで心があったまって癒されている事に気付いて、改めて私はほう、と息を吐きました。

もし私が好きって言ったらどんな顔をするんでしょうか。
きっと「私も好きー」なんて私とは違う好きを言うんでしょうね。
わかってるんです。
この気持ちを伝える事はきっとないけれど。
でも。
卒業して会えなくなってもたぶんずっと好きです。

永遠の少女みたいな唯先輩。
できたら変わらずにいつまでもそのままでいてくださいね。









END
 

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