キセキノウタ
□第4話:秋山家の人々
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「ここが私の部屋なんだけど……。どうぞ」
と、澪は龍聖を部屋に通した。
「ほう、中々日当たりも良さげじゃないか」
と言って龍聖は部屋を見渡し、窓の外に『幽幻桜』の姿を捉えた。
「へぇ。あの桜の木、此処から見えるのか」
「うん」
「…………。」
そう言って龍聖が振り返れば、そこには白とブルーのストライプの下着を着けた、澪の後ろ姿。
15、6才にしては、バランスの取れた見事なプロポーションを持つ澪。白い肌に艶のある黒髪が良く映えていた。
まさに眼福。
「……秋山、結構大胆だな」
「……へっ?」
そう言われた澪は、龍聖を振り返って見た。
胸の谷間もバッチリ披露して。
「………っ!? き、きゃああああっ!」
大絶叫。
翌日、律と健に何があった!? と詰め寄られる程の。
「ふ、服着るから、ろ、廊下で待っててっ!」
慌てて床に落とした制服を拾い、それで身体を隠しながら、澪は真っ赤になって龍聖に言うが
「自分で招き入れたんじゃないか……」
「そっ、そうだけどっ!で、でもっ!」
「じゃあ後ろ向いててやる」
そう言ったものの、よく見ると澪は小さくカタカタと震えているのに、龍聖は気が付いた。
自分の失態からか、異性に対する恐怖心からか。
「判った判った。着替えたら呼べよ?」
そう言って去り際にポンポン、と澪の頭を撫でてから、龍聖は部屋を出た。
「……お嫁に行けない……」
と、呟きながら、澪は素早く私服に着替える。
「(……おっきな手、だったな……。あれ? アルバラート君って、左利き……?)」
着替えながら、ふとそんな事を思う澪。
一方廊下で待つ龍聖。
「(日本人にしてはバランスの取れた体型だな……。あれで身長が165cmあれば、モデルも中々……。ふむ、ヌードデッサンも描いてみたいが、秋山の性格じゃ、それもムリか……)」
澪のプロポーションの良さに感心しながらも、性的な事とは全く関係ない事を考えていたのだった。
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